製造現場の専門知識から、Data、Energy、Loss、Waste、そして Carbon(CO2)をより広い視野で捉えるへ—— SEEN – LEAN – GREEN – CLEAN の 4 日間を終えた Peerajed Sirikul 氏の新たな視点。

Sumitomo Electric Wiring Systems (Thailand) Ltd.
MEGA Tech は、SIMTEC 協会の「GREEN TRANSFORMATION for Next-Generation Factory Leaders」コースに参加した Sumitomo Electric Wiring Systems (Thailand) Ltd. の Senior Staff Assembly である Peerajed Sirikul 氏にお話を伺いました。興味深いのは、単に Green Transformation に関する知識が増えたことにとどまらず、従来の「製造(Production)専任者」という枠組みを超え、これまで保全(Maintenance)やファシリティ(Facility)の領域とみなされがちであった Energy、IoT、Carbon について理解を深めた点です。そして、これらの知識が Loss や Waste の発見、設備効率の可視化、Data を活用した製造プロセスのピンポイント改善など、製造現場の課題解決に直接還元できるという確信を得ました。
従来の境界線を解除:なぜ Energy & Carbon の知識は工場全体の共通言語であるべきなのか
コース参加前、Peerajed 氏は、自身が常に製造(Production)側で業務を行ってきたため、エネルギー関連の業務に直接携わっていないスタッフは同分野への理解が深まりにくい面があったこと、またエネルギー管理は通常、保全やファシリティ部門の管轄とされていたことを認めました。また、SIMTEC での研修は、カーボンクレジットについて本格的に学ぶ初めての機会となりました。
「以前は製造に関する知識が中心で、エネルギーに関してはそれほど深い知識を持っていませんでした。しかし今回の受講を通じて多くの新たな知識を得ることができ、これが製造部門の業務に直ちに展開できるものであることが明確に分かりました」と Peerajed 氏は語ります。
エネルギーや環境に関する知識がラインを駆動する製造担当者と結びつくことで、工場全体の俯瞰的視点は一変します。従来の Output、Cycle Time、Productivity の追及のみならず、同一の製造プロセス内に潜む Loss、Waste、およびエネルギー損失を鋭く見出す視点へと拡張されるのです。

思考のレンズを調整:製造ライン向上のため Production Loss から Energy Loss への視点転換
Peerajed 氏は、4 日間のプログラムで得た知識体系は、自社において実践的かつ包括的に適用できるものだと考えています。
- SEEN(可視化): 現場データを明確な課題として可視化する。
- LEAN(ムダ削ぎ): プロセス内の Loss や Waste を徹底的に探索・排除する。
- GREEN(環境最適化): エネルギー管理および Carbon Footprint(カーボンフットプリント)管理へと思考フレームを昇華させる。
- CLEAN(持続可能性): 体系的かつ持続可能な組織改善手法へと展開する。

製造業務を最も端的に象徴するケーススタディは「エア漏れ(Air Leakage)」の問題です。エア漏れはもはや保全部門だけの課題ではなく、製造ラインの直接的なエネルギー損失であり、隠れたコストであることが明確になりました。このコースは「プロセス改善」という言葉に新たな次元をもたらしました。Loss の削減は単にタクトタイムの短縮や Downtime(停止時間)の削減にとどまらず、それらのムダの背後に潜むエネルギーコストを見出すことにあるのです。
Data が視点を変える時:現場課題をピンポイント解決するための「可視化」の解除
最も深い感銘を受け、実務への適用可能性を実感したのは、SEEN モジュールにおける IoT 技術と Dashboard(ダッシュボード)設計でした。工場にはすでに IoT システムが導入されていますが、ワークショップを通じて、問題の根本原因を特定するためにデータをどのように設計し、深掘りすべきかという新たな着想が得られました。
「初日から印象的だったのは IoT Dashboard でした。設備の稼働効率や各ポイントで発生している Loss など、知りたい目的に応じて自由に設計できるため、データへ迅速にアクセスでき、製造ラインの改善がより容易になります」と Peerajed 氏は emphasized(強調)します。
製造部門にとっての SEEN の定義は、単にセンサーを取り付けたりダッシュボードを表示させたりすることではなく、「何を可視化したいのか」を正確に定義し、それらのデータを生産効率向上のための戦略的意思決定へと変換することなのです。

Workshop から Action Plan へ:「理解」からトップマネジメントへの具体的な提案へ
研修で得た知識は、受講後の感想だけで終わるものではありません。Peerajed 氏は、ワークショップで得られたデータや成果を現在の工場のシステムと比較・検証し、経営幹部へ提出する戦略的提案書としてまとめる明確なロードマップを描いています。
「研修やワークショップを通じて見出した新たな機会、既存のシステムと SIMTEC で学んだことの違い、そして自社に不足している要素について、すべてのデータをまとめて経営陣にプレゼンテーションする予定です」
特に IoT 技術に関して、Peerajed 氏は、授業で体験したデータの精細さにより問題の根源を迅速かつ正確に特定できるため、現場スタッフの負担と作業時間を削減し、製造ラインの改善を効果的に推進できると考えています。そのため、工場の既存システムへ展開する前の実現可能性調査(Feasibility Study)として、SIMTEC チームによる実現場での Demo 実施を提案する計画も立てています。
Carbon は今日の緊急課題ではないかもしれない、しかし「準備」は規制化まで待つべきではない
親会社や海外グループ企業ではすでに明確な脱炭素方針が打出されていますが、タイ国内の工場における直接的な脱炭素管理措置はまだ初期段階にあります。しかしながら、タイでは電力・水の使用量削減、ソーラーパネルの設置、社内啓発活動など、エネルギー・環境面での取り組みを継続的に推進してきました。今回の研修は、法規制が本格的に導入される前に、グローバル方針に即した現場の準備を整えるための重要なマイルストーンとなりました。
「得た知識を持ち帰って組織の開発に活かすことは、将来的に大きなメリットをもたらします。法律や規制による管理が導入された際、即座に適用できる知識基盤がすでに整っているからです」
Carbon に関する研修を受けたことがなかった製造担当者が、CFO、CFP、Scope 1, 2, 3 の仕組みを理解し、エネルギー使用と CO2 排出を結びつけて捉えられるようになったことで、「規制が将来的な負担となる前に、工場の準備は今日から始めなければならない」という明確な意識改革が生まれました。

Plant から Organization へ:すべての工場を変革へと導く知識の伝播
特筆すべきは、この学びが今回の受講者だけで終わらないという点です。同グループはタイ国内に 3 つの工場を擁しており、最初の工場がすでに受講を完了し、残る 2 工場も次期の研修へチームを派遣する準備を進めています。SEEN – LEAN – GREEN – CLEAN の知識体系は、個人のグループから組織レベルでの「共通の認識基盤」の構築へと広がりを見せています。コースの真の価値は修了証の授与やワークショップの終了で終わるのではなく、受講者が現場に戻って従来のプロセスに疑問を投げかけ、見落とされていたデータを分析し、インサイトを経営陣へ提案し、同僚へ知識を伝達し始めた瞬間に開花するのです。
Peerajed 氏にとっての 4 日間の道のりは、「エネルギーを直接担当しない製造担当者」として始まり、Productivity、Loss、Waste、Energy、Data、Carbon が一つのストーリーとして統合された、より広く深い工場全体の視野を獲得して締めくくられました。
製造業がエネルギー、CO2、サステナビリティに関する強制的な規制基準へと向かう中、競争上の優位性は、法律が施行された日に対応を始める企業ではなく、今日から理解を深め「人材の準備」を整え始めた組織にもたらされるのです。

Executive Takeaway(経営陣への要約)
「未来の工場に求められるのは、単に高度な技術設備だけではなく、規制によって変化を強制される前に、Production、Energy、Carbon の相互連結性を正確に見通すことができる『人材』なのです」
Peerajed Sirikul 氏, Senior Staff Assembly,
Sumitomo Electric Wiring Systems (Thailand) Ltd.

