Article by: Thaisakol Group Co., Ltd. & MEGA Tech
近年金属3Dプリント技術の発展が飛躍的に進んでいる。注目を集めている有望な技術の 1 つは業界全体で益々利用が増えているバインダー ジェッティングだ。その理由はバインダー ジェッティング技術がプロセスと製品のイノベーションにおいて製造業者にとって重要な利点をもたらすからである。
プロセスイノペーション‐時間とコストの削減
3D プリントは工具を必要としないため可也の割合で従来の製造プロセスよりも迅速かつ手頃な価格で部品の製造が可能。しかしDMLS、SLS、SLM、EBM等の従来の金属 3D プリント技術とは異なりバインダー ジェッティングはこれらの部品の大量生産が可能。デザインが完成したら直ちにプリントの開始が可能で何百もの部品を一晩でプリントできる。MIM、鋳造、鍛造、押し出し、そして大量機械加工など従来の製造方法に共通するハード ツーリング加工のために数週間待つ必要が無い。
製造加工は特定のツールに縛られないのでバインダー ジェッティングはCAD ファイルを更新して新しいデザインをプリンターに送信するだけでデザインを変更するプロセスを大幅に簡素化できる。必要に応じて設計を更新できるこの機能により比類ない設計の自由度を実現、パフォーマンスが向上された製品の開発とエンドユーザーの正確なニーズを満たすようにカスタマイズできる特殊な設計が可能。
金属3Dプリントのツールが不要という利点はメーカーがツールの償却を部品コストに織り込む必要がないと言うことを意味する。数量の多い部品の場合には部品あたりの大幅な節約につながるのだがその理由は金型のコストがしばしば数万ドルに上るからである。工具への投資を大幅に抑えて機械加工を行う事ができる場合もあるが3Dプリントは依然として切削工具の摩耗を減らしコストを削減し部品のプリントに係わるオペレーターの負担を最小限に抑えることで人件費を節約する。また様々な機能に複数の機械と調整が必要になる可能性のある機械加工とは対照的にプリントは製造に関連するステップ数を大幅に削減しレイヤーごとに部品を造っていく。同様に部品の数や複雑さに関係なくわずか1 ~ 2 時間でセットアップ可能。一方各機械加工部品の治具は慎重に行なっていく必要があり独自のジオメトリ毎にそのプロセスは何時間も掛かる。
そして更にはこの工具不要の製造プロセスは非常に機敏な製造環境を作り出し倉庫保管と在庫の必要性が減少する場合が多い。製造業者は必要な時に部品を素早くプリントすれば良く、いつか必要になるかも知れないからと言う理由で古いツールを保管する必要がない。その代わりに「デジタル ウェアハウス」を作成して部品ファイルを保管し必要な時にプリントで呼び出せる。
プロダクツイノベーション-独自のブランドを構築する
従来の製造設計には部品を効率的かつ手頃な価格で製造できるようにするために製造を容易にするための制限が伴う事があるがこのような制限は部品製作の成功、経済性、およびに機械加工などの減法やMIM や鋳造などのハードツーリング ベースの製造方法のスループットを確保するためには必要なのだ。
従来の製造業が直面している制限の典型的な例は機械加工された部品である。設計者は部品に新しい機能を追加したいと考えるのだがそうすると加工時間が長くなり多くの場合大幅なコスト増に繋がる。MIM、鋳造、鍛造等の従来の製造方法も同様の課題に直面しており新しい機能はツールの複雑さとコストの大幅な増加を意味し時には部品の製造自体が不可能になる事もある。パーツが利用できる機能を制限する事でメーカーは製造が容易である一方でパーツの性能を犠牲にする事が多い設計となる。
これらの従来の製造プロセスとは異なり3Dプリントは積層プロセスでありパーツをレイヤーごとに構築する。これによりオーガニックシェープ、アンダーカット、非円形穴、統合アセンブリそしてラティスなどの軽量化機能等多くの複雑な機能が作成可能でありこれらの機能がなければ従来の方法では製造が困難でコストが掛かるため意味を持たなかった。これらの機能はバインダー ジェット部品にシームレスに組み込む事が可能で多くの場合コンポーネントの製造コストを削減できる。例えば軽量化機能は材料を取り除きプリントされたコンポーネントのコストを削減するが殆どの場合機械加工のカット数の増加や MIM およびに鋳造のツールの複雑さにより従来の方法で製造された部品のコストを増加させる。
これにより市場とユーザーに付加価値を提供できる新しい部品が出現する。そして自分のアイデアと 3D プリンターさえ有れば独自のブランドを構築して市場に一番乗りする事が可能なのだ。